最近「ホログラム」っていうものをよく聞くけど、結局何なの??
「ホログラム」って実現している技術なの??
じゃあ、今回は「ホログラム」とは何なのか、
「ホログラム」は実現しているのかについて掘り下げていくよ!!
よろしくね!!!
こんにちは、Yum@です!
スターウォーズをはじめとするSF作品の多くにホログラムというものが出てきます。
例えば、「エピソード4 新たなる希望」でのR2D2が映し出したレイア姫の3D像です。
私はMARVELも好きなのですがMCUの映画の中にも多く登場し、「スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム」では敵が大規模なホログラムを使ってましたよね。
そんな近未来代表の技術である「ホログラム」とはどんな仕組みの技術なのでしょうか?
詳しく掘り下げていきます!!
-この記事の内容-
・ホログラムとは
・ホログラムの原理
・ホログラムとその他3D映像の違い
・ホログラムは実用化されているのか
※結論から言うと、実は皆さんが想像するような、3Dホログラムはまだ実用化されていません。
ホログラムとは
ホログラムは、レーザーを使って立体画像を記録したモノを指します。 ホログラムはギリシア語の「完全」という意味の「Holos」と「情報」という意味の「Gram」を合成して作られた言葉です。
ケー・レーザー・テクノロジー・ジャパン株式会社より引用
ホログラムは映画ではあたかも簡単な技術のように当たり前にありますが、今の生活に「ホログラム」という言葉が浸透していないことからもわかるように、想像よりもかなり難しい技術となっています。
ホログラムの製造技術である、ホログラフィーは1940年代後半にハンガリーの物理学者ガーボル・デーネシュによって発明されました。
技術自体はそんなに新しいものではないんだね!!
ホログラムの原理
ここからは、本題のホログラムのメカニズムについて掘り下げていきます!!
ホログラムを理解する上での前提知識
まずは白黒写真、カラー写真、ホログラムの違いを押さえておきましょう!
白黒写真…対象物の光の強さ(光の振幅)の情報を記録する媒体
カラー写真…光の強さ(光の振幅)に加えて、光の色(光の波長)の情報も記録する媒体
ホログラム…光の強さ(光の振幅)と光の色(光の波長)に加えて、光の位置関係(光同士の位相差の関係)も記録する媒体
※位相というのは簡単に言うと波の位置のことです。
光は「波」なんだけど、その波を私たちは、「光の強さ、色、位置関係」として認識しているんだね!!
このためカラー写真、映像は2Dであるのに対して、ホログラムは3Dで対象物を再現できます。
それではどうやって、光同士の位相差の関係の情報を観測するのでしょうか??
それには「光の干渉」という現象を利用します。
光は波なので、波同士が重なると影響し合います。
位相のそろった波がぶつかると強め合い、そろっていない波だと弱めあいます。
これは波全般に共通するので海の波でも起こります!!
波の干渉があるから、同じ日の海の波に高い波と低い波があるんだよ!!
このような干渉の結果を記録することで光の位置関係(光同士の位相差の関係)がわかります。
ホログラムの仕組み(作成)
ここから話がやや難しくなってきます。
ホログラムは、レーザー、スプリッター、ミラー、光の干渉を記録する材料(ホログラムとなる)を使って作られます。(図を参照)
スプリッターで、レーザーから出た光を「ホログラムに記録したい対象物(リンゴ)にあてる光」と「ホログラムとなる材料に直接あてる光」にわけます。
この時に、対象物の反射光とレーザーから直接くる光(参照光)との干渉縞が「ホログラムとなる材料」にできます。
この時にできた干渉縞を記録します。
※この図では一本の光についての説明ですが、実際は光は無数にあり、それぞれの光で上記のことが起き、「ホログラムとなる材料」に干渉縞ができます。
大まかな説明ではありますが、ホログラム作成の原理はこんな感じです。
こう考えると意外と原理はあまり複雑じゃないわね!!
ホログラムの仕組み(再生)
ホログラムに先ほどの参照光と同じ光を入れると、ホログラムに入っている位相の位置関係の情報から3Dの像が映し出されます。
先ほどの逆ですね!
もっと詳しく言うと、記録された干渉縞によって回折という現象が起き、光強度と位相が再現された物体光ができます。
※回折とは、光の進路に障害物のそばを通るときに、障害物を回り込んで広がる現象のことです。
水で想像すると、水路の出口に池があり水路から勢いよく池に水が流れるときに水路の出口を中心として弧状の模様ができるあの現象のことです。
んっ!!なんか全然想像できないなぁ!!
ここは、何となくわかれば大丈夫だよ!
既存の3D映像とホログラムの違い
原理や仕組みは何となくわかりましたが、実際には実用化はしているのでしょうか?
最近は映像やコンピュータの発達により、デジタルライブや3D広告などで3Dの物体が動くという技術がありますが、あの技術はホログラムとは別物です。
そのような技術は人間の錯覚を利用してあたかも、3D像のように見せる技術です。
例えば、わずかに異なる映像を違う角度から見せることによって立体的に見せるなどです。
最近では、4K、8Kなど非常に高解像度になったことで、従来の3D映像の粗さが目立たなくなり、かなり自然な3D映像が見られるようになってきました。
この錯覚による3D映像を見ているときは、目の焦点はディスプレイに合う一方で、両目は3Dの立体映像に向いていることで脳が混乱します。
この現象を「輻輳(ふくそう)と調節の不一致」といいます。
人間だけでなく、単眼のカメラでの3D映像の撮影でもオートフォーカス機能がうまく機能せずピントが合わないことが多いです。
VR(仮想現実)ゴーグルやAR(拡張現実)グラスでも課題は解決せず、めまいや頭痛などの悪影響につながります。
映像のアトラクションで酔う原因はこれなんだね!!!
※AR、VR、MRの違い
AR…ポケモンGOのような現実世界にデジタル情報を付加するもの
VR…ゴーグルなどをつけ、外界を遮断し仮想の世界に100%没入する体験のできるもの
MR…複合現実とも呼ばれ、ユーザーの位置や動きに合わせてデジタル情報を表示したり、直接ユーザーがデジタル情報を触って操作したり、複数人で同時に体験をできるもの(Apple Vision Proなど)
それに対してホログラフィックディスプレイ(ホログラムを投影する装置)は先ほども述べたように位相情報も再現するので、実際の物体から出てくる光とほぼ同じものが再現できます。
これによって目の焦点は、ディスプレイではなく光っている再現された物体の光に向きます。
解像度の問題はありますが、これによって「輻輳(ふくそう)と調節の不一致」の問題が解決できます。
また錯覚による3D映像と違い、ホログラフィック映像は片目でもそこに物体があるように見えます。
ホログラムと既存の3D映像と違う点をまとめ
- 位相情報も再現するため、錯覚ではなく対象の物体から出る光をそのまま再現できる
- 輻輳と調節の不一致がないため、脳やカメラのフォーカス機能が混乱することがない
- 片目でも物体がそこにあるように見える
映画やアトラクションでホログラムを使うことができたら、迫力すごそうっ!!
ホログラムは実現するのか??
平面のホログラムの実用化
3Dのホログラム技術は未だ実用化に至っていませんが、実は2Dのホログラム技術は皆さんの身の回りにあります。
2Dのホログラム技術はお札やクレジットカードなどに偽造防止技術として使われています。
下の画像はすべて5000円札の同じ場所のホログラムを違う角度で撮影したものです。
ここの箇所に干渉縞が記録されているのですね!
ほかにもネイルやアクセサリなどに使われています↓↓
えぇ~!!お札のやつとか、ラメとかってホログラムだったの!!!
ホログラムって、むっちゃ身近にあるじゃん!!笑
3Dホログラフィックディスプレイ
皆さんがホログラムと想像するのは、2Dではなく3Dホログラフィックディスプレイですよね。
その技術は前述のように実用化はされていませんが、現在実現可能になりました!
イギリスのVividQは2022年5月に「SF映画のホログラフィック映像と通信を世界で初めて実現可能にした」と論文を発表しました。
こういった3Dホログラム作成には従来ならば、暗室やレーザー光、複雑な光学装置が必要です。
しかしVividQはそれらを使わず、カメラ機能と深度測定機能で得られた距離情報付きの動画を基に、クラウドサーバー上で計算してホログラムを作成するという方法でSFの世界を実現させました。
「深度測定機能」はiphone12 pro ,iphone13 proに備わっているよ!!
さらにVividQは作成したホログラムデータの送信技術も開発しました。
一般的な記録媒体にデジタルデータとして伝送、記録ができます。
映像の再生には、現時点ではプロジェクターで一般的に使われている「DMD(Digital Micromirror Device)という半導体の上に敷き詰められた48万~200万個の微小な鏡を高速に制御し、光を反射させることで映像を作り出す技術」を使用します。
ホログラムの再生は割と簡単で、このDMDにホログラムを表示して、RGBの3色のレーザー光を照射するとできるよ!!
これによってホログラフィック3D映像のフルカラー動画も再生可能になりました!!
まだ、ホログラムの映像の大きさは直径2センチほどと小さいですが、この技術が進歩することに期待です!!
ホログラムの実現が難しい理由
ホログラムの実用化の実態を見てきましたが、なぜそんなに実用化が難しいのでしょうか?
その理由は主に以下の二つです。
- 光の位相関係を記録する媒体が技術的に未熟であったこと
- ホログラムの作成には、対象物の反射の光を正確に記録するために「できる限り暗い部屋」が必要であったこと
昔からホログラフィック技術というものはありましたが、当初はレコードのようなアナログ媒体しかありませんでした。
これでは、静止画しかホログラムにすることができません。
現在では、空間位相変調器(Spatial Light Modulator, SLM)というものを記録媒体にしています。
またホログラムの作成が困難であったことも要因の一つです。
作成する場所が暗室でなかったら、日光や照明などの光の位相が干渉縞の記録を邪魔します。
これでは、日常的な映像を2D,ましてや3Dホログラフィック映像にするのは不可能です。
この困難を解決したのがVividQなんだね!!
ホログラムに似た技術
ホログラムについてインターネットで調べていると、あたかももう「ホログラフィックディスプレイ」が実現しているかのような装置が売ってたりします。
しかし、それらはホログラムではありません。
ホログラムに似ている映像を生み出す映像技術として以下のようなものがあります。
- ペッパーゴースト型
- 水蒸気型
- ブレード型
- ライトフィールドディスプレイ型
今回は取り扱いませんが、興味があったら調べてみてください!
ホログラム的なものを作れる面白い動画があったので、載せておきます。
まとめ
-ホログラムとは-
光の強さ(光の振幅)と光の色(光の波長)に加えて、光の位置関係(光同士の位相差の関係)も記録する媒体
-ホログラムと既存の3D映像と違う点-
・位相情報も再現するため、錯覚ではなく対象の物体から出る光をそのまま再現できる
・輻輳と調節の不一致がないため、脳やカメラのフォーカス機能が混乱することがない
-3Dホログラムの実用化-
実用化はまだしていないが、VividQという会社によって実現されている
今後の科学技術発展はワクワクしかないですね!!
それでは、また!!
今日も最高の1日にしていこう!!
See you soon!!
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