東工大機械系の初学年で学ぶ事:詳しく解説

東工大Life

こんにちは、Yum@です。

僕は現在、東京工業大学(東京科学大学)工学院機械系に所属する大学2年生です。

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今回は東工大機械系の初学年で学べることについて、詳しく紹介します。

機械に興味があるけど何を学ぶのかわからない人、東工大機械系の志望者の人必見です!!

東工大機械系とは

機械系の概要についてはこちらの記事を参照ください!

機械系初年度は何を学べるのか

機械系初年度は大学二年生であり、ここから専門的な授業が大半を占めるようになります。

大学一年生では、理系の教養科目が大半を占めていました。

系所属をすると、教員が系の教員となり、共に学ぶ仲間もガラッと変わるので、不安な気持ちとわくわくした気持ちを持っていることでしょう。

初年度学ぶ内容は簡潔に言うと、機械屋の初歩を学んでいきます。

座学では四大力学とそれに使われる数学、実習では製図、設計、実験、機械工作、分解・組み立てなどを中心に学んでいきます。(とったほうがいいですが、上げたものの中で必修ではないものもあります)

では早速くわしく紹介していきます。

座学

四大力学

四大力学というのは材料力学、熱力学、流体力学、機械力学のことで、機械を作っていく中で基礎となる科目です。

逆に言えば、この4つがわからないと機械設計ができないということもできます。

東工大では、四大力学を学ぶ前に、力学(基礎)、電磁気(基礎)、工業力学を学びます。

工業力学は骨組み構造物の力学的な解析であったり、動座標系における質点や剛体の運動の解析を学びます。

工業力学は力学(基礎)と四大力学を結ぶものという説明がありましたが、正直あまり結ばれておらず、独立した科目である気がします。

四大力学の難易度的には

流体力学 > 熱力学 > 機械力学 > 材料力学 って感じです

前置きが長くなりましたが、ここから四大力学とは何なのかを説明します!

材料力学

材料力学は材料の構造にフォーカスして力学を考えていきます。

つまり、その物質が何であるかは考えません。

どんな状況において、どのような構造が強いのかを応力、曲げモーメント、ねじりモーメントなどを考えて力学的に解析します。

とはいってもあまりピンとこないと思うので具体的な問題を一題あげます。(ここから先はだいぶ専門的なので飛ばして結構です(笑)

図1:飛び込み台

図1のような構造をした飛び込み台を考えてみましょう。

飛び込み台はなぜあのような形なのでしょう??

飛び込み台のような、荷重を長手方向の任意の点で受けても、曲げ応力が一定値となるものを「平等強さのはり」といいます。

図1のように先端に集中荷重Pを受ける方持ちはりで、幅b0が一定で高さhが変化する場合について、平等強さのはりとなるように設計することを考えます。(固定端における梁の高さはh0とします)

       断面係数   Z = b0h2/6

         曲げモーメント M = -Px       より任意断面における最大曲げ応力は

      σmax = 6Px/ b0h2            これが一定値cである必要があるから、

          h = √(6Px/ b0c)  となる。    X = l において、h= h0となるから、 h = h0√(x/l) となる。

だから、平等強さのはりは図1のような形となります。

専門用語が出てきてわからなくて当然ですが、ここで言いたいのは、「力学的解析をすることによって、望んだ性能を持った構造を考える」という学問が材料力学だということです。

熱力学

熱力学は高校でちょろっとやるので一番イメージしやすいのではないでしょうか。

熱力学は化学専攻の人も、物理専攻の人もいろんな人が学び、熱力学といってもいろんな分野があります。

機械系向けの熱力学は、主に熱効率や様々な熱サイクル、熱の流れなどを学び、熱をどのように使えば効率よくエネルギーを回収できるのかを最終目標としていると僕は感じます。

なので現象よりかは、損失や熱効率など、産業をしていく中で使っていくものを学んでいきます。

多くのサイクルを覚えることがつらいのと、エントロピー(乱雑さの度合い)の理論が結構難しいです。

機械力学

機械力学は振動学ともいい、物体の振動に対しての応答を解析していく学問です。

高校の物理で単振動をやっている人は、その応用だと思ってください。

高校ではバネだけでしたが、ダッシュポットという減速器がついてくるので、ややこしくなります。

実際の運動では摩擦や空気抵抗などで物体が減速し、振動が減衰するためこれを考えます。

共振はなぜ起こるのかなど、高校で習ったものの伏線が回収できますよ!

ラプラス変換や固有値問題など、数学ができないと致命的なので、線形代数や解析学は頑張りましょう(僕も致命的な人の一人でした笑笑)

流体力学

流体力学は流体の流れを考えることで、どんな場合にどんな力がはたらくのかを力学的に考える学問です。

正直、四大力学のなかでは一番イメージしづらい学問でしょう(笑)

流体力学を学ぶにおいて、「なぜ飛行機は飛べるのか」というのが大きなテーマの一つでした。

「飛行機が揚力を受ける原理って結構複雑なのか!」ということをきっと感じますよ。

実際の流体には粘性があります。

その粘性を考えることで、流体の現象がかなり変わっていくというところにも注目です。

流体の運動方程式として「ナビエ・ストークス方程式」というものを考えていきます。

数学

先述した通り、数学は物理に密接に絡んでいます。

物理を解析するために数学は発展してきた一面もあるのは言うまでもないでしょう。

ってことで数学を学ぶことは重要です。

大学一年生で学ぶ、微分積分、線形代数は、ここで紹介するものよりも大切なので、しっかりと学びましょう。

※微積のε-δ論法は必要ないですね。一応理系として大半は受ける感じだったので受けましたが…

でも、線形代数の固有値問題や行列式の計算は必要不可欠なので注意しましょう!

常微分方程式

常微分方程式は数Ⅲの最後でちょろっとやっていると思いますが、大学の常微分方程式はかなり難しかったです。

基本的には方程式の解を求めるのですが、様々な方法があり、未定係数法、階数低下法、微分演算子を用いた方法、級数解法など覚えることが山積みで、理論も難しいです。

微分方程式や偏微分方程式は電気回路のコイルやコンデンサーが絡んでくる問題や熱伝導方程式、ナビエストークス方程式など機械を学ぶ上であらゆるところで出てきます。

機械工学でも難しい解法は使ったりしますよ…

偏微分方程式

東工大の授業では、偏微分方程式の解法やラプラス変換などを学びます。

偏微分方程式は解ける条件が常微分の時よりも、厳しくなるため、パターンが決まってきます。

なので、常微分方程式より授業は簡単でした。

微分方程式もラプラス変換も四大力学でかなり使うので、習得必須です。

ベクトル解析

ベクトル解析は高校のベクトルに微積分の要素を加えた感じです。

かなりやることが多いですが、図形的に考えられるのでイメージしやすい学問です。

線積分、面積分、ガウスの定理、ストークスの定理などを学んで行きます。

僕はすでにベクトル解析を使って、電磁気をやっていたのでかなりイメージがしやすかったです。

電磁気学と一緒にやることが理想的だと思います。

四大力学では、熱力学、流体力学で多用します。

複素関数論

複素関数論は数Ⅲでやる複素数平面の応用です。(もうやってないかもしれませんが)

なぜ複素数を考えるのかというと、複素数で考える事によってしか見えない法則があるからです。

実関数を複素関数として捉えて問題を解く事によって、一瞬で答えが導けるということがかなりあります。

東工大の授業では留数定理が実関数において使えるようになることを目標としていました。

留数定理が理解でき使えるようになった時は、まじで気持ちいので、楽しみにしておいて下さい笑。

Yum@
Yum@

留数ていーり、きもーちよすぎだっろっ!🎵🎵

専門分野

ここからは機械系初年度で学べる機械系の専門的分野を紹介します。

情報処理

機械系ではC言語を使った、数値計算や処理の仕方を学べます。

実際に手を動かしながら学べますが、C言語はかなり難しかったです。

機械を専攻するにおいてもプログラミングを使うということを考えさせられました。

機械をつくるとしても、ハードなのか、システムなのかで分かれると思うので、システムをやりたい人はやるべきですね。

初年度のうちに、2つの授業がありました。

ロボット工学

この学問は機構学といわれる学問です。

対偶という部品と対偶素というリンクの状況から、この機構はどのような動きをするのかや、工業力学でやった動座標系や静止座標系を考えること、さらに、カム機構や歯車機構などの様々な機構がどのような原理で動いているのかを学びます。

個人的にはかなり難しかったです。

ロボットを学びたい人は結構多いと思うので、ぜひ学びましょう。

材料工学

材料力学とは違って、材料の特性を考えて、材料の選定が適切にできるようにする学問です。

例えば、材料の壊れ方の種類や鋼の温度による特性の変化などを学びます。

化学的な学問ですね。

暗記が多いですが、様々な材料の特徴が知れて、物理をあまり使わない機械系では珍しい科目なので、結構新鮮で面白かったです。

宇宙工学

これを受ける前は、宇宙工学では何を学ぶのか全くわかりませんよね。

この授業を受けてみれば一体どんなものかわかりますよ。(当たり前)

運動方程式やエネルギー保存則、角運動量保存則などの諸法則から、ケプラーの法則やケプラー方程式、軌道遷移の式やランデブーの式、ランベール問題などを考えていきます。

また、ロケットがどのくらい飛ぶことができるのかを運動量保存則から求めたり、GPSの基礎を学んだり、ロケットはどのように打ち上げがなされるのかを学んだり、とりあえず、宇宙工学の基礎を学びます。

感想としては、「宇宙工学は数式が多い」ということですね笑笑

エレクトロニクス

この学問では、電気回路について学びます。

特に、半導体でできている素子、トランジスタやオペアンプの構造や機能などです。

半導体がいかに素晴らしいかを体感できます。

機械系なら電子工作を一度はやると思うので、その時に困らないためにもしっかりとやっておいた方がいい学問だと思いますよ笑(間違えて部品をショートとかさせたら大変です!!笑)

実習

機械系と言えば実習ですね。

機械は実習をする事によって、座学で学んだことが身についていくものだと思うので、たとえ必修でなくても、取ることをおすすめします。

製図・設計

設計とは計画して、定量的に材料や寸法などを考え、それを図面に表して(製図)思っているものを形にすることです

設計のためには、四大力学などの知識もそうですが、機械要素(ネジやボルト、歯車など)の知識もないといけません。

東工大では、どこにどれだけ力がかかるからこんな構造にするなどを考えることを授業でやりました。

また実際に3DCADを使って製図をしたり、紙に製図をする授業がありました。

機械の分解・組立や機械工作

この授業は落としたら留年でしたが思い返せばかなり楽しい授業でした。

YAMAHA発動機の方がアシスタントとして来てくれて、YAMAHAのエンジンを実際に分解、組み立てをやり、最後にエンジンをつけるという授業。

コマツの方による油圧ポンプの分解、組み立て、動作実習の授業。

電子部品から、ライントレーサーを作って、ライントレースのコースを回るようにプログラムをする授業。

の3つに分かれます。

難易度が高そうですが、上の2つは班でやり、アシスタントもつくので大丈夫でした。

ライントレーサーの方は個人で作ることとなりますが、わからない人でもできるように講義体制ができているので、やらかさない限りは大丈夫かなと思います。

Yum@
Yum@

僕は実際ライントレーサーの基盤のトラブルで通電せずに一部動かないというトラブルや、電圧の配線の向きを逆にしてしまうトラブルなどがあったよ笑

他にも、かなりのトラブルがあったけど、平均的にみんなそんな感じだったよ笑。

トラブルを乗り越えて、できないことができるようになるっていう当たり前のことに改めて気づかされたね。

Yum@が作ったライントレーサ

実験

四大力学の材料力学、熱力学、機械力学、流体力学の4つの実験をしました。

内容は

・材料力学が有機材料と金属材料の破断の実験

・熱力学が熱電発電とスターリングエンジンの熱効率の実験

・機械力学が1自由度系と2自由度系の振動実験

・流体力学が質量保存則とベルヌーイの定理の比較実験と流脈線の可視化の実験

どれも面白そうな実験でしたが、レポートを書くことが超絶辛かったです。

実験をまとめて、考察までするということを1週間でしないといけなかったので大変でした。

まだ、四大力学を習って程ないので、かなり考察に手こずりましたし、割とガチな実験レポートが初めてだったので書式を揃えたりすることや実験の結果をまとめてグラフを作ることに手間がかかりましたね。

最終的に全体で30人も残ってなかったらしいです笑。

来年から必修になるのでやる人は頑張って下さい笑

機械系次年度で学ぶこと(概要)

機械系次年度で学べることを箇条書きで書いていきます。

・伝熱学(熱力学の応用)

・振動解析学(機械力学の応用)

・流体力学(応用)

・加工学

・制御工学

・機械設計製図

・生体工学

・ロボット工学と制御

・機械製作

・宇宙工学(応用)

・原子核工学

・エネルギー変換工学

・航空工学

などなどこれの1.5倍以上の紹介できないほどの授業があります!!

実際に体験してみて、1年後にまた紹介しようと思うので楽しみにしていただけると嬉しいです。

他の工学院の系との違い

東工大の工学院の中には機械系の他に、システム制御系、電気電子系、情報通信系、経営工学系があります。

特に機械系、システム制御系、電気電子系の違いについて簡単に説明します。

システム制御系は機械系に一番近い系ですが、学ぶことはかなり違います。

機械系は機械をどう設計していくかを考えるために、四大力学をはじめとする学問を学び実際に起こる現象を考え、設計にそれを生かしていきます。

システム制御系はその逆で、機械システムがどのように作動するか、どのように作動させたいのかを考えて、システム自体を考えます。

電気電子系は電子回路はもちろんのこと、さまざまな素子、制御理論、電磁気学、エレクトロニクスを学んでいきます。

機械系に入ったとしても、制御理論を学べますし、システム制御の分野を専門にすることはできます。

全ては授業の組み方次第ですね。

機械系はブラックなのか

機械系は東工大の中の鬼畜学系の四天王の一つとされっています。

そして最近、「機械系はブラック」ということが定着して来ています。

「機械系はブラックなのか」

みなさん気になることでしょう。

結論を言うと「機械系は知に飢えてる人はブラックにならざるを得ないけど、マジで人による」です。

けど、専門が決まっている人であったら別にそんなに授業を取る必要がないでしょう。

機械系はやたらと授業が多いですが、それだけ機械は幅が広いのです。

だからどれを取ってどれを取らないのかをしっかり考えることが必要になってきます。

でも、一つだけ言えるのは「実習はきついです(泣)」

僕はブラックだと思いますよ笑(あんま気にしないけど)

最後に

今回は受験をするときの専門分野を決める中で、こんな記事があったらいいなという記事を作らせて頂きました。

機械は情報と違って現実で起こっていることを理解して、それを目に見える形に応用することできるので、そこが魅力だと思います。

最近ではApple Vision Pro などのわくわくする最新技術もたくさん出てきていて、AIブームの後はハードブームが来ると思うので、かなり熱い分野だと思います。

今日はこのへんで

その他の東工大の大学生活についての記事はこちらから

Yum@
Yum@

今日も最高の一日にしよう!!

See you soon !!

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